基本処置(①瘀血処置、②扁桃処置)

基本処置と書いたのは、これは当院で鍼灸施術を行う際にほぼすべての方に使用する処置だからです。なので訴えが、肩こりであっても腰痛、冷え性でも、ほとんどの方に使用されます。

これらの反応があると他の処置をしても効果出にくいことがある為、当院では念のためにすべての方でチェックしています。

とはいえ、それぞれの反応を指標としますので、指標点にまったく反応がなければ刺鍼してすぐに抜鍼する程度の軽い施術で済ませます。

①瘀血処置(おけつしょち)

瘀血とは東洋医学的には酸素を運び終えて、心臓に戻るべき血液が停滞している状態を意味します。西洋医学的には静脈血の流れが悪い状態といえるかもしれません。左下腹部の大巨や外陵(大巨の下1寸)エリア(下図参照)は下半身から戻ってくる血流が停滞すると押すと痛みが出たり、少し硬い塊が触れることあります。これを腹部オ血と呼んでいます。

<指標(ターゲット)反応>

青く塗りつぶされている臍の左下のエリアが腹部オ血の反応エリアです

大巨(だいこ):お臍から左側に2寸(指3本分)、そこから下に2寸(指3本分)の経穴

外陵(がいりょう):大巨から1寸下

<処置経穴>
左側 中封(ちゅうほう)、尺沢(しゃくたく)

~左の中封(ちゅうほう

内くるぶしの前方にある腱と内くるぶしの間で、足首を内側に軽く曲げ際にできるくぼみが中封です(赤●の位置)。押すときは垂直か腱に沿って斜め上に押す。鍼を刺すときはお腹の大巨あたりに硬さや痛みが軽減する角度で刺鍼します。

~尺沢(しゃくたく)

尺沢は肘の中央部にある腱(上腕二頭筋腱)の外側にあります。押すと少しぐりっとした痛みがある人も多いです。ここを手首のほうに向かって下向きに押すと腹部の大巨が緩みます鍼はその緩む角度で刺鍼します。また尺沢で同側の中府も緩みます。この場合は東洋医学的に考えられている肺の機能の失調も考慮します。

 

②扁桃処置(免疫力強化)

<指標(ターゲット)反応>

右大巨(だいこ)~外陵(がいりょう)エリア、天牖(てんゆう)*天牖は反応点でもあり治療点にもなる

天牖(てんゆう)は耳たぶの後ろの出っ張った骨(後頭骨乳様突起)の後下方で胸鎖乳突筋の後縁に取ります。ここが押して痛みがある場合は扁桃処置を行います

 

<処置経穴>

手三里(てさんり)~曲池(曲池)の圧痛点

曲池は肘を90度に曲げてできる皺(しわ)の外端に位置します
手三里は曲池から人差し指に向けて指3本分下になります

いずれもターゲットとなる右大巨から外陵のエリアが緩む位置と角度で刺鍼していきます(慢性症状の場合はお灸も加えると効果的です)

中府(ちゅうふ)に圧痛や緊張がある場合は、同側の尺沢で緩和することが多いです。尺沢を押して効果がある場合は使用します